昨年のフライング・ロータス『ユーアー・デッド』に続き今年もメインストリーム(ケンドリック・ラマー)とアンダーグラウンド(カマシ・ワシントン)の双方でそれぞれ高い評価を得た大作に参加と、現LAのネオ・ジャズ〜ベース・ミュージック界のキー・パーソンのひとりとして動向から目が離せないサンダーキャット。
リーダー作としては2年ぶりになる本ミニ・アルバム、ストイックかつ優雅なプロダクションと澄んだメロディのスピリチュアルなトーンには強く打たれる。ジャズ/ソウル/R&B/ファンクとバリア・フリーに連結させていく柔軟な感性とミュージシャンとしての技能ゆえに、彼の音楽は軽やかで遊び心に満ちたフュージョンからエレクトリックなサウンドスケープ、コズミックなジャムまで広角レンズぶりを誇ってきた。しかし『ユーアー・デッド』と同様「向こう側(死後の世界)」を深く考察するというテーマは、1枚の世界に埋没できる高いトータル性を本作にもたらしている。前作にも影を落としていた盟友オースティン・ペラルタの夭逝はもちろん、世界各地で悲劇や死は続く。これは彼らの魂に手向けられた美しい音の花束だ。(坂本麻里子)