ソロ名義でのTKの作品は、穏と激、冷と熱のレンジがより広く、繊細な美しさを持つ楽曲が多いが、今回のソロ作におけるリード曲“Secret Sensation”には、クラブサウンドを意識的に取り入れて昇華させようという試みがあり、これまでにない強烈で扇情的なエレクトロニカに仕上がっている。《誰にも見えないダンスフロア/鳴り響くのは無音のDJ》という《Secret Disco》で鳴らされる解放の音。ミニマルなトラックに乗せた静かな歌い出しからTKの切り裂くようなギターとすべての感情が吐き出されるような声が、激しく心を揺さぶる。2曲目に収録された“subliminal”は力強くも官能的な痛みを感じさせるメロディが相当にエモーショナル。そしてそれらの曲と対照的にピアノの弾き語りで始まる“like there is tomorrow”は、静かに語りかけるような生々しいヴォーカルがとても美しい。轟音で鳴らされるギターソロでさえ、なぜだか静かに儚さを感じさせる。さらに、昨年ビルボードライブ大阪で演奏した“white silence”も収録され、この8分24秒にわたるパフォーマンスは必聴!(杉浦美恵)