The 1975という時間
The 1975『君が寝てる姿が好きなんだ。なぜなら君はとても美しいのにそれに全く気がついていないから。』
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ALBUM
セクシーなロック・スター像を引き受けつつ、コンテンポラリーなポップ・ミュージックを鳴らすことは、今や本当に難しい。ロックンロールというアート・フォーム自体が、既に60年以上の歴史を重ねているのだから当たり前だ。お爺ちゃんである。その点で、The 1975は奇跡のバンドと言える。類い稀な情報処理能力と若い衝動が両立し、巧みに解散騒ぎを巻き起こしながらセカンド・アルバムへと至る戦略も見事というより他になかった。そして、リード曲“アー!”に見られた、現代型AORと呼ぶべき洗練と狂おしい恋愛感情の表出といい、“ア・チェンジ・オブ・ハート”の残酷なまでに明瞭で詩的な情景描写といい、究極的にはサウンドの斬新さと美しさに着地するところが、彼らの最も恐ろしい部分である。インスト曲で世界観に浸る時間を十分に確保しつつ、必然の70分強・本編だけで17曲というヴォリュームが、楽曲単位優勢の時代にアルバム作品の意味を伝えている。とはいえ、珠玉のソウル・バラード“イフ・アイ・ビリーヴ・ユー”やドラマティックな表題曲と、1曲1曲の聴きごたえも最高だ。サマソニまでにしっかりと聴き込もう。(小池宏和)
2016.03.06 16:46