それこそ重力など存在しないかのように涼やかに舞い踊るアルペジオの軽快な響き。ネオアコとロックンロールを両手に抱えて陽光の下へ駆け出すようなビートの躍動感。極上のメロディにありったけのセンチメントと一握りのサイケ感を流し込んだ陶酔必至の歌声とハーモニー……。デンマークはコペンハーゲン発のインディー・ポップ5人組=ヴァージン・スーサイドのファースト・アルバムには、そんなドリーミンな音風景が高純度で詰まっている。曲ごとに60s直系のウォール・オブ・サウンドからスミス/初期プライマル/ベルセバまで感じさせながら、時代を超えて白昼夢感のエッセンスを丹念に集めて編み上げたような彼らのサウンドスケープからは、人力/非人力含めありとあらゆる表現手法が出揃った10年代に、紛れもないバンド・サウンドの肉体性でもってポップの桃源郷を描き出そうとする伸びやかな意志が伝わってくる。古き良き時代のきらめきに想いを馳せながら聴いても最高だが、そんなポップ・ミュージック史の文脈やしがらみをすっぱり度外視しても、今作のヘヴンリーなまでに高性能な多幸感は微塵も失われることはない。(高橋智樹)