徹底的に贅肉を削ぎ落とし要点だけを提示するような、シンプルでタイトな演奏。ヒップホップ以降の黒いグルーヴをロックのフォーマットに援用して、リズム表現の多彩さを目指したアレンジ。骨太で硬質なサウンドのテクスチャー。そんなものを達成した記念碑的傑作である前作『THE DARK BLACK GROOVE』から1年。待望の4作目である。
実は荒々しさとは無縁な緻密に作り込んだアレンジだった前作に対して、今作での彼らはひたすら荒ぶる衝動に身を任せて、細部の辻褄を合わせるよりもエネルギーの迸るままに爆発炎上するようなライヴなバンドサウンドをぶちかましてくる。前作での到達があったからこそ、この荒々しさが生きてくるのである。どちらがいいかは好みの問題だが、今の日本のロックシーンの状況を考えれば、今作のほうがこのバンドのポテンシャルが理解されやすいだろう。ライヴでの盛り上がりが容易に想像できる爆裂ロック曲から、ドリーミーなバラードまで多彩で起伏に富んだ構成もドラマティックだ。今作で彼らはその支持層を大きく広げることになるだろう。(小野島大)