映画『ブラフマン』、ベストアルバム『尽未来際』、シングル『其限』、幕張メッセ2デイズのイベントとその映像作品、単行本──といった結成20周年を記念しての作品や活動を経たのちにリリースされた配信シングル。正しく言うと、この配信シングルは3月1日リリースで、イベントの映像作品は3月23日リリースだったので、そのへん多少前後しているのだが、20周年で様々なことに一区切りをつけたから踏み出すことのできた、新しい一歩だと思う、あきらかにこの曲は。

最初に聴いた時、驚きのあまり6回続けてリピートした。こんなに平易な言葉で歌い手の本意が綴られていて、こんなに聴き手を選ばないメロディの、つまりこんなにわかりやすい曲がこのバンドから生まれるとは思わなかった。意外だが、ただ、イントロからアウトロまでどこをどう聴いてもBRAHMAN以外の何ものでもないし、圧倒的に間違いなく動かしがたく「いい曲」。カラオケで歌うんじゃ収まらない、この曲やるためにコピーバンド組みたい、と思うほど。このキャリアでこんなふうに変わることがあるんですね、バンドって。驚いた。（兵庫慎司）