前作で90年代以来というチャート好成績&高い評価を受け、再びキているペット・ショップ・ボーイズが早くも新作で帰還。マドンナにキラーズまで多彩なモダン・ポップを仕掛けてきたスチュワート・プライスと再び組んでのサウンドは『エレクトリック』(2013年)と題された前作以上にエレクトリック(!)で、現EDMマーケットにどんぴしゃなアッパーかつ「踊れ〜!」と叫ぶしかない4つ打ちダンス・チューンを満載している。テクノ/ハウスという自らのルーツ回帰がユーロ・ディスコ人気と良い形でシンクロしていた前作に比べ、エッジや実験性はやや後退しているものの、そのぶんメロディックなポップ・アルバムとしてのアクセス度は高く、古株ファンもためらいなくフロアに降りて行ける1枚だと思う。
にしても昨年のニュー・オーダー、先頃のアンダーワールドと、ペット・ショップ・ボーイズとほぼ同世代のUKエレクトロ・アクトたちの元気さと意欲には圧倒される。戯画調なEDM人気を笑う声は多く耳にするが、新たなリスナー層が「本家」を発見することで彼らもまた充電され、こうして優れた作品の登場に繫がっているのは間違いない。嬉しい副産物だ。(坂本麻里子)
36年目にして、ノってます!
ペット・ショップ・ボーイズ『スーパー』
発売中
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