屈指の多様性とダンス・フィール

ビビオ『ア・ミネラル・ラブ』
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ALBUM
ビビオ ア・ミネラル・ラブ
ボーズ・オブ・カナダと並ぶWARPきっての抒情派エレクトロニカ、ビビオ。前作『シルバー・ウィルキンソン』では生音の響きにフォーカスを当てた音作りが特徴的だったが、8枚目の最新作ではまたガラリと趣が異なる。

70年代と80年代の音楽、とりわけブラック・ミュージックの影響を反映したというダンス・フィール溢れるプロダクション。具体的にはスライやスティーヴィー・ワンダーらを参照し、ディスコやソウル、ファンクのテイストが強く打ち出されたサウンドになっている。そしてヴァラエティ豊かな楽曲群を彩るのが、ゴティエらゲスト・ミュージシャンの存在。ポップ・ミュージック的なヴォーカル・トラックがキーとなっているという点では、『マインド・ボケ』の方向性に近いかもしれない。さらにフレンドリー・ファイアーズのライヴでも活躍するロブ・リーもワックス・スタッグ名義でシンセやドラムを演奏している。本作はこれまでのディスコグラフィにおいても屈指の多様性とソングライティングの充実度を誇る一枚。昨年迎えたデビュー10年の節目をへて、キャリア・ハイの到来を予感させる出来栄えだ。(天井潤之介)
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