ポップネスを極めた最新作

M83『ジャンク』
発売中
ALBUM
M83 ジャンク
映画『オブリビオン』のサントラを挟んで、M83ことアンソニー・ゴンザレスの5年ぶり7枚目のアルバムになる。ソロ・プロジェクトに転じて以降、初期のエレクトロ・シューゲイズやポスト・ロック的なイメージを離れてメジャー感のあるポップ・ミュージック寄りのアプローチを進めてきたM83だが、今作でそれはより極まったという印象だ。

サウンドはざっくりと言うと、ディスコ/ファンクやAOR、フュージョンも消化した70/80sなテイスト。いわく当時のTVドラマに影響を受けたとのことで、スケール感が増したダンサブルでキャッチーな仕上がりが耳を引く。そして、今作を彩るのが豪華なゲストの起用――ベックを筆頭に、フランスの女性ヴォーカリストのマイ・ラン、過去に共演経験もあるノルウェーの女性SSWのスザンヌ・サンドフォー。さらにあのスティーヴ・ヴァイも1曲ギターを弾いている。個人的には、そうした楽曲の嗜好や制作のアプローチ、あるいは郷愁やメランコリーといった深層を流れるフィーリングも含めて、どこかビビオの最新作と通じるものを感じさせるところが興味深い。5月の来日も楽しみ。(天井潤之介)
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