「東京」というタイトルがついた楽曲/アルバムは、名作が多い。これもそのひとつ。サニーデイ・サービスの2作目。彼らの出世作であり、ポスト渋谷系の日本語ロックのあり方を塗り替えた名作であり、そして今なおさりげなく輝く90年代の青春のリアルな生活感がある。当時ははっぴいえんどの影響が指摘されたしそれは間違いではないが、こうして久々に聴くと、むしろベーシックで生成りのフォークロックとしての正統性を感じる。モード性をできるだけ排していったらメロディと歌詞を表現するのに最低限のものだけが残った感じ。それでいてエヴァーグリーンなポップ性は失っていない。だからこそこの音は古びない。それは歌詞も同様で、時代の風俗状況を示すような符丁や表現を注意深く排除することで、時代を超えたスタンダードであろうという意思が隅々まで行き渡っている。曽我部恵一の声は今のまろやかなものではなくまだ生硬だが、それがいい。
20年前、1996年の東京の青春。90年代後半という日本のロック激動期の中で己を貫こうとした若者たちの記録。今の人たちにも響くといい。(小野島大)