前作『いいね!』から約2年半。またもや最高のロックアルバムを完成させたサニーデイ・サービス。大袈裟でもなんでもなく音楽は聴く者の心を、疲弊した魂を癒し、救うことができるものだと信じられるアルバムだ。バンドサウンド自体が、ロックに、ポップに、音楽に、純粋にときめいている。とても豊かなアンサンブルが、時代に立ち込める不穏な靄をかき消してくれるように、心強く、そして軽快に響く。まず《あなたのそばに行き歌をうたってあげたいな》という衒いのない歌い出しが心を射る“風船讃歌”(MV必見!)。その歌の混じりっけのないあたたかい眼差しに思わず涙がこぼれそうになってしまう。振り返れば曽我部恵一(Vo・G)の作る歌には常にやさしい目線が宿るが、今作ではその本質がかつてないほどにまっすぐ解き放たれている。散文詩的な歌詞は抽象的でありながら「命」の瞬きや「魂」の永遠性を強く感じさせ、さらにアルバムラストの“家を出ることの難しさ”では、世界の憂鬱を日常のブルーに落とし込んで映し出す。今この時代にはこのアルバムが必要だ。心の底からそう思える傑作。(杉浦美恵)
時代がこのアルバムを必要とする
サニーデイ・サービス『DOKI DOKI』
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