活気づいている新世代女性インディ・ロック・バンド勢の中でも、サヴェージズと並ぶカリスマを誇るロサンジェルス発の4人組。ポスト・パンクのグルーヴ力学とゴスのサイケデリアという影響に今のLAらしいノワールなトリップ感をミックスすることで幻惑的な音像を作り上げてきた彼女たちだが、本サードは多くの意味で転機の1枚になりそうだ。
音数を減らし楽曲の構造もルーズだった前作は、聴き手の集中力をつなぎ留める句読点に欠ける面もあった。しかしメンバーも「テンポを上げたダンサブルな作品」と形容しているように、デビューEPを手がけたジェイコブ・バーコヴィッチ(ザ・ヴォイズ)を再び迎えた今作はモダンR&B/ヒップホップの話法を巧みに消化。透かし彫りを思わせるツイン・ヴォーカルの妖気、トライバルなギターといったデリケートな持ち味は健在ながら、このバンドの大きな武器であるリズム隊が前面に出ることでメリハリの利いたアート・ポップ(ハイムとギャング・ギャング・ダンスのジャム?)を達成している。ジャケットはモノクロながら、彼女たちの作品でもっともカラフルかつ動きに満ちた成長作だ。(坂本麻里子)
新たな境地にバトル・オン
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