志磨遼平は文化人とペテン師どっち?

ドレスコーズ『人間ビデオ』
発売中
SINGLE
ドレスコーズ 人間ビデオ
ドレスコーズの新作はダブル主題歌シングル。表題曲“人間ビデオ”はフル3DCG映画『GANTZ:O』の主題歌で、バンドメンバーはギターを人間椅子の和嶋慎治、ドラムをピエール中野が務めている。今までにないほど重低音の効いたハードロック色の強いサウンドとなっている。そしてとにかく、志磨は『GANTZ』が大好きなんだと思う。もともと漫画や本、映画などに造詣が深い志磨だが、同曲の歌詞も原作から台詞を引用したり、内容に沿って書き下ろしているあたり、作品への敬意が感じられる。音楽を発信する立場でありながら、他の表現に対し、受信側としてピュアでマニアックな姿勢でもあることが、志磨を一際特異な存在にしている。それによってカルチャー系雑誌で表紙を飾るなど文化的な活動も増えているが、2曲目の“コミック・ジェネレイション”は問題だ。映画『溺れるナイフ』の主題歌で、毛皮のマリーズ時代の楽曲を録り直したものだが、バンドメンバーのクレジットが隠されている。活動の領域を広げてもリスナーの胸をザワザワさせ続けることは欠かさないところがニクい。(渡辺満理奈)
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