再発業界も今や私家版や素人の自主制作盤発掘といったマニア域に達しているが、仮に自分がダダリオ兄弟(19歳&17歳!)によるこのアルバムを一切の前知識なしに聴いていたら、「70年代ポップの知られざる秘宝」なんて評しているかもしれない。
そんな錯覚が起きるくらい、本作には「ビートルズ後」のアメリカン・ポップ(一部ではパワー・ポップと呼ばれる)=トッド、ニルソン、エミット・ローズ、ビッグ・スター他を思わせるピュアなメロディ愛とゾンビーズ/レフト・バンクのバロックな装飾性とがたっぷり詰め込まれている。完璧過ぎるヴィジュアル――子役として映画出演経験もあるマイケルのボウイ×ベイ・シティ・ローラーズルックはあっぱれだし、ブライアンは『ヴァージン・スーサイズ』から抜け出してきたよう――も含め、確信的なレトロ犯?との疑問も浮かぶ。しかしセミプロだった父親のDNAを受け継いだ彼らにとって、発見の宝庫である過去こそむしろ新鮮。その美学を共有するフォクシジェンのジョナサンがプロデュースを担当、磨き上げることなくローファイな手作り感を優先しているのは正解だ。若い音楽好きにぜひ聴いてもらいたい1枚。(坂本麻里子)