奇妙な安定感

KOЯN『ザ・セレニティー・オブ・サファリング』
発売中
ALBUM
KOЯN ザ・セレニティー・オブ・サファリング
90年代後半から活躍したバンドの多くが解散したり停滞している中、コーンは定期的にアルバムを出し続け、新たな音楽的挑戦を見せるなど、創作意欲を保っている。その成果に関する賛否はさておき、彼らの姿勢はリスペクトされるべきだろう。

最新アルバムに関しては、ジョナサン・デイヴィスが「俺たちの作品の中で最もヘヴィな1枚。ヘヴィネスという点でデビュー作が10点満点とすれば今作は9点」と発言している。確かに、ここ数作よりはズドーンとしたサウンド・プロダクションで、ややミスマッチな印象もあった前作におけるドン・ギルモアに比べ、今回のニック・ラスクリニクスはより相応しいプロデューシングを行なっていると思う。一方、すでに素晴らしいシンガーとなったジョナサンの歌唱は変わりようもなく、メロディアスでドラマティックな要素はかえって強調されているように感じる。

また、シャウトやリフなど様々なパートで、過去に生み出した「いかにもコーン」な手法を積極的に再利用している印象も受けるが、単なる焼き直しと切り捨てるほどではないし、ここは「おおっ、きたきたー!」と盛り上がっておきたい。(鈴木喜之)
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