「レジェンド」は未来にいる

ジョン・レジェンド『ダークネス・アンド・ライト』
発売中
ALBUM
ジョン・レジェンド ダークネス・アンド・ライト
前作『ラブ・イン・ザ・フューチャー』では、ソウルの温故知新を絶妙に乗りこなす姿に惚れ惚れとさせられたものだが、3年ぶりのアルバムではガラリと作風を変え、攻め気を感じさせている。コンテンポラリーの基準そのものをアップデートしてしまう強烈な一枚だ。プロデューサーは、アラバマ・シェイクスのヴィンテージなリズム&ブルースを未来の音像『サウンド&カラー』にすげ変えてしまったブレイク・ミルズ。その縁あってか、アルバム表題曲はブリタニー・ハワードとのデュエットとなっている。恐ろしく雄弁なベース・ラインは、一聴してそれと分かるピノ・パラディーノの演奏であり、クリス・デイヴとの最強コンビが半数以上の楽曲でボトムを受け持っている。何とも容赦ない布陣だが、特筆すべきはそのサウンドに押し負けることのない、ジョン・レジェンドのソングライティングと歌唱だろう。全盛期のスティーヴィー・ワンダーかと思うような“ライト・バイ・ユー(フォー・ルナ)”の作曲は圧巻だし、ボーナスの“ホワット・ユー・ドゥ・トゥ・ミー”ピアノ・デモにおいても、楽曲の芯の強さが露わになっている。(小池宏和)
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