TVアニメ『３月のライオン』（羽海野チカ原作）の第2クールのオープニングテーマとして、すでに話題になっている“さよならバイスタンダー”（バイスタンダーとは、傍観者、見物人という意味を持つ）。前に進み続けていく力強さをストレートに表現した楽曲で、ドラマチックなストリングスのアレンジに後押しされるように、傍観者との決別を歌うその声は、低音から伸びやかにはじける高音まで、とてもアグレッシヴに響く。『３月のライオン』の主人公である零が、愛すべき人たちに出会って、前に進む強さを手に入れたように、この歌は、自らの意思で、自らの足で未来へ進むのだという決意表明であり、YUKI自身がこの羽海野作品に強く共鳴したことを感じさせる。ソロデビューから15周年を迎えてなお、音楽、そして人生そのものに対してフレッシュな感性を持ち続けられるということがYUKIの大きな魅力のひとつだが、それが今回の楽曲に明確に表われたのは、やはり『３月のライオン』という作品があってのことなのだと思う。両者にとって、もちろんリスナーにとっても非常に幸せなタイアップ曲。（杉浦美恵）