砂漠のロック

ティナリウェン『エルワン~エレファント』
発売中
ALBUM
ティナリウェン エルワン~エレファント
サハラ砂漠の遊牧民族トゥアレグ族のミュージシャン集団、ティナリウェンの新作。もともとマリの内戦で反政府側についたトゥアレグ族は北アフリカを転々とし、リーダー格のイブラヒム・アグ・アルハビブはそうした生活の中でアルジェリアの音楽やプレスリーやツェッペリン、ヘンドリックスなどロックの影響を受けながら、70年代末から仲間を募ってプロテスト・ソングを演奏してきたという。その後、無料で配っていたカセット・テープがフランスで注目され、00年代からフェス出演や本格的なレコーディングに乗り出すようになった。前作時はマリがまた政情不安に陥ったため、メンバーが難を逃れながらアメリカで制作するという経緯をとったが、今回はそうした局面を乗り越えたせいか、潑溂とした演奏が揃っているように思う。いずれにしても、ロックやブルースを聴き込んできたグループなので、通常のワールド・ミュージックと比べるとブルース・スケールが多用されていて聴きやすいし、ロック的感性にはものすごく響く。それにパーカッションの2名以外7名前後が全員ヴォーカルとギターも担当するので気持ちいいことこの上ないのだ。(高見展)
公式SNSアカウントをフォローする

人気記事

最新ブログ

フォローする