進化、深化する砂漠のブルーズ

ティナリウェン『タッシリ』
2011年08月21日発売
ALBUM
ティナリウェン タッシリ
トム・ヨークからロバート・プラントまでが夢中になったサハラ砂漠の遊牧民トゥアレグ族の人々によるグループ、ティナリウェンの2年ぶり、5枚目。数本のギターがシンプルなフレーズを繰り返し、ぼくとつな歌声、コーラスが創り出すミニマルな世界の魅力は今回も変わりはしないが、ギターがアコースティック中心となって、よりプリミティヴな味わいが深まっている。当然ながら表面的には地味に聴こえるのだが奥底で巻き起こっている音への思い、自分たちのルーツへの眼差しのスケールが、音のスリルとなっている。
 
そんな音に多少貢献しているのは、ゲスト参加しているTVオン・ザ・レディオのキップやトゥンデ、ウィルコのネルス、さらにニュー・オーリンズのダーティ・ダズン・ブラス・バンドなどで、最大限の敬意をはらいながら野外でのレコーディングにも参加している様子が初回限定のDVDでも確認できる。
 
過酷な環境、社会状況のなかにあって確固たる信念が流れる音楽の強さ、清々しさが、まるでラクダの背で揺られるかの如くリズムの彼方から聴こえてくる。一人でも多くの人に聴いてもらいたい傑作だ。(大鷹俊一)
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