前作『パラダイス・バレー』以来約3年半ぶりの新作となる7thアルバム『ザ・サーチ・フォー・エヴリシング』――に先駆けてリリースされた配信限定EP。アルバムからの1stシングル “ラヴ・オン・ザ・ウィークエンド”に3つの新曲を加えた計4曲では、『パラダイス・バレー』で繰り広げたカントリー～フォーク方面のテイストから一転、それこそスティーリー・ダンか？ってくらいの「引きの美学」に裏打ちされたAOR的音像を構築しながら、ホーリーなまでの清冽なサウンドの質感と、ポップの輪郭を卓越したギター・ワークで丁寧になぞるような至高の磁場を描き出している。

胸を震わすほどの透明度と輝度に満ちた“ラヴ・オン・ザ・ウィークエンド”のクリーン・トーンの残響音と、その中央で豊潤なヴァイブを放つジョンの歌声のコントラスト。3拍子系ピアノ・ブルース“チェンジング”の泣きのソロの先に広がる晴れやかな心の風景……エッジィだったりエクストリームだったりする音の要素を一切排し、人生の大切なものはすべて今ここにある、と指し示すようなジョンの歌と音の真髄が眩く結晶した、アルバムへの最高の羅針盤的作品。（高橋智樹）