アリシア・キーズが、NYでも最も混雑した場所と言えるタイムズ・スクエアを“貸し切って”無料ライブを行った。NY一人がごった返す場所で、しかも休暇中にライブを行うなんて、奇跡としか言いようがない。しかも、次々に豪華ゲストが登場し、タイムズ・スクエアの巨大スクリーンに映像を流しながら、ライブは盛大に開催された。中でも一番感動したのは、Jay Zが登場して、“Empire State of Mind”を共演したこと。こちらはタイムズ・スクエアが貼付けた映像。
It was only a matter of time before they performed this live in #TimesSquare. @aliciakeys & @S_C_ come together for 'Empire State of Mind'. pic.twitter.com/5GKDQ67TM2
— Times Square (@TimesSquareNYC) 2016年10月10日
これまで、ふたりがこの曲で共演するのは観たことがあるけど、これを超す場所というのはもう考えられない。NYのど真ん中、タイムズ・スクエアの巨大スクリーンに映像を流しながら演奏したわけだから。Jay Zはビヨンセの『レモネード』が発売された後、公から姿を消していることが多かったけど、この日のエネルギーのレベルはもの凄かった。彼が登場する前もかなり盛り上がっていたけど、Jay Zがもたらしたパワーにはかなわないと思った。
さらにJay Zと並ぶNYのスーパー・スターNASも登場し、“One Love”を一緒に披露した。
タイムズ・スクエアがその他にも映像を貼付けている。
最後を飾ったジョン・レノンの“Imagine”カバー。
Happy birthday, @johnlennon. @aliciakeys performs 'Imagine' live in #TimesSquare with a message of hope and love. pic.twitter.com/C7AOX1SFmH
— Times Square (@TimesSquareNYC) 2016年10月10日
ジョン・メイヤー、クエストラブ、Q-Tipが参加した“If I Ain't Got You”
.@aliciakeys, @johnmayer and @questlove came together for a rare performance in #TimesSquare. #HEREinTimesSquare pic.twitter.com/rkoCYitykV
— Times Square (@TimesSquareNYC) 2016年10月10日
このライブは、サプライズとして発表され、ストリーミング・サイトのTidalで応募し、当選した人のみ場所が分かるというシステムだった。なので、行ってみるまで何が行われるのか分からなかったのだけど、蓋を開けてみれば、11月4日に発売される新作『HERE』からの新曲を何曲かお披露目することが目的だった。そしてこの日のライブはアルバム発売日にTVで放送されるという。
最近発表されたA$AP Rocky との共演作“Blended Family (What You Do For Love)”なども演奏。こちら。
アリシアはこの日のライブを、「今日はジョン・レノンの誕生日なの」と言って始めた。「彼は平和のために、愛のために、平等のために、声を使って闘った人だった」と。この日のテーマは、そのジョン・レノンの志を継ぐものであり、なるほどだからタイムズ・スクエアだったのか、と理解できた。彼とオノ・ヨーコは、“War is Over, If You Want It”というメッセージを、タイムズ・スクエアのビルボードで発表していたから。今でも時々掲げられている。
彼女は、人種差別、銃規制、戦争、難民、人々の違い、救済、祈り、などについて雄弁に語りながら曲を紹介し、それを解決するのは、今「HERE=ここに」いる人々の愛を結集することであると語った。つまり、最新作の曲は、それぞれを象徴した強烈なメッセージ・アルバムということになると思う。この日聴いた限りでは、非常に削ぎ落としたサウンドの中に、パワフルなメッセージを込めた作品になると思う。
また「この日のバイブにぴったりだから」と言って、ボブ・マーリーの“War”も演奏された。
「これは一生に一度の体験だったと思う。予定より長く演奏してしまったからもうやらせてもらえないと思うし(笑)」と語っていたが、正に一生に一度の体験にふさわしい記念碑的なライブだった。