歪なる生命の輪郭の描き方

the GazettE『TRACES VOL.2』
2017年03月08日発売
ALBUM
the GazettE TRACES VOL.2
初期ミニアルバム3作品をコンパイルした『大日本異端芸者的脳味噌逆回転絶叫音源集』('06年)、キング在籍期の作品から選曲された『TRACES BEST OF 2005-2009』('11年)に続くthe GazettE自身3作目となるベスト盤は、全曲再録のバラードベスト。そもそもメジャーデビュー曲として美麗ナンバー“Cassis”を選んでいることからもわかる通り、彼らがバラード曲群に託してきた狂おしいほどの悲哀/妖艶さ/美しさが、ハードコア〜ヘヴィ・ロック系ナンバーに渦巻く熾烈なカオスとともに、the GazettEという世界観の不動の両翼を成していることを、今作は改めて伝えてくる。

“Cassis”“reila”“紅蓮”“PLEDGE”といったシングル曲はもちろん、'05年発売の写真集『Verwelktes Gedicht』初版限定CDにのみ収録されていた“枯詩”まで網羅した10曲(初回盤はさらに“絲”“体温”を加えた12曲入り)。愛と退廃が渾然一体となって狂い咲く背徳的なロマンで浮き彫りにする、歪なる生命の輪郭――繊細にして強靭なロックの美学が生み出した、珠玉のメロディとサウンドスケープの宝庫的な1枚だ。(高橋智樹)
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