「孤独と憂いの歌」の真骨頂

ジェイムス・ブラント『ジ・アフターラヴ』
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ALBUM
ジェイムス・ブラント ジ・アフターラヴ
前作『ムーン・ランディング』から3年半ぶり5枚目となる今作の、エド・シーランとの共作曲“メイク・ミー・ベター”を聴いて、“ユア・ビューティフル”の全英&全米No.1ヒットで現在まで続くUK男性シンガー・ソングライターの成功の扉を開いてみせたジェイムス・ブラントという奇跡に、改めて思いを馳せずにはいられなかった。聴く者の孤独もメランコリアも漂白し空高く飛翔させるジェイムスの乾いた歌声が、17年のSSWシーン最先端を切り拓くエド・シーランの才気とともに咲き誇る―まさに歌の至宝と呼ぶべき瞬間がここにはある。

1stシングル“ラヴ・ミー・ベター”に当代きってのヒットメーカー=ライアン・テダー(ワンリパブリック)が参加していたりもするが、ポップな肉体性に満ちた『ムーン・ランディング』に比べると、はっきりと「個」の憂いにフォーカスを合わせた音像が印象的な今作。荘厳なピアノ・バラード“ドント・ギヴ・ミー・ゾーズ・アイズ”や悲哀あふれる“ハートビート”あたりを聴くと、“ユア・ビューティフル”にハマった人たちにとって、今作が実は一番ジャストなアルバムなのでは?と思う。(高橋智樹)
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