いつでもそこにいてほしい歌

ロン・セクスミス『ザ・ラスト・ライダー』
発売中
ALBUM
ロン・セクスミス ザ・ラスト・ライダー
クラシカルな作りの美しい04年の作品でカナダのグラミー=ジュノー賞受賞、前作R&Bにロックンロール、カントリー他多彩なフレイヴァーを難なくこなすポップ巧者ぶりを発揮―と、たぐいまれな歌の数々に舌を巻かされ続けてきた。ソロ・デビューから20年以上、通算13枚目の今回もその才は衰え知らずで、グッド・メロディが惜しみなく詰め込まれたアルバムになっている。

とはいえ今回はアプローチを変え、30年来の盟友ドン・カー(05年にコラボ作品も発表)と共同でプロデュースを担当、レコーディングも気心の知れたツアー・バンドと決行。そのせいかヴォーカルも心なしかリラックスしているし、彼の音楽的なアイドルのひとり:ポール・マッカートニー嗜好がメロディとサウンド面での実験性の双方で素直に出ている。M5、M9、M12といったサニー&オープンなポップも良いが、M2、M7、M8、M11等のメロウにしみる楽曲はやはり彼の独壇場だ。タイトルは語呂合わせの好きなロンらしく「最後の晩餐」のもじりだが、今年後半に初の小説を出版予定~アルバム制作からしばし遠ざかる、との噂も。この声とメロディを聴き逃さないでほしい。(坂本麻里子)
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