アルバムがリリースされる度にそれが最高傑作なんてありえないし、作品を聴いた情動的な勢いだけで総称するのはとても乱暴なことだと思う。それを踏まえて、3ピースバンドとなったBase Ball Bearが作り上げた本作は最高傑作であると断言する。前作『C2』から1年5ヶ月、全8曲で構成されたフルアルバム。すべての楽曲がハイライトであると同時に、バンドが完全に新たなフェイズに立ったことと「2周目の青春」というテーマを語るうえで欠かせないピースとして存在している。誰よりもギターロックに愛憎を抱き、だからこそ、ギター、ベース、ドラムのみで楽曲をクリエイトしてきたBase Ball Bearは、このタイミングで禁じ手を解いた。その結果、シンセやブラス、エレピなどの音が導入されている。しかし、何より重要なのは、3人の盤石でしなやかなグルーヴがすでに確立されていて、それが自由度の高いアレンジメントとグッドメロディを引き寄せていることだ。本作が完成するまでの経緯も含めて、“逆バタフライ・エフェクト”の《自分こそだよ 運命の正体は》というフレーズが心底染みる。(三宅正一)