無視できない声と歌

パフューム・ジーニアス『ノー・シェイプ』
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ALBUM
パフューム・ジーニアス ノー・シェイプ
前作『トゥー・ブライト』のスマッシュヒット(と名曲”クィーン”のクィア・アンセム化)でアーティストとしてひとつの転機を迎え、「カルトなインディ・シンガー」から逸脱したパフューム・ジーニアス。ブレイク・ミルズ(アラバマ・シェイクス、ローラ・マーリング他)をプロデュースに迎えた本4thで、しかし彼はまた新たな領域を切り開いてみせた。まず驚かされるのが、絢爛たるサウンド・デザイン。音の細やかな重ね方はもちろんのこと、多彩なエフェクトや質感/ダイナミクスのブレンド、ボーカルの豊かな表情・ニュアンスに耳を傾けていると、デイヴ・フリッドマン仕事が浮かぶほどだ。ドゥワップやゴスペルを基盤に据えた古典的なメロディも健在ながら、これまで簡素だった音のパレットにより多くの色彩を盛り込む「欲」が出ているし、画面を広げようとする積極性からは彼流のケイト・ブッシュ”ハウンズ・オブ・ラヴ”とも言える⑥や②を筆頭とする斬新な美とロマンに満ちたポップ・ソングの数々が生まれている。抑圧に反してLGBTQコミュニティの連帯が勢いを増している昨今、またひとつ、素晴らしい「フォース」が加わった。 (坂本麻里子)
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