この日々、あの風景をきらきら照らす
シャムキャッツ『Friends Again』
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ALBUM
『Friends Again』というアルバムタイトルからワクワクせずにはいられない、シャムキャッツの2年3ヶ月ぶりのフルアルバム。夏目知幸(Vo・G)はエレキからアコースティックギターに持ち替え、菅原慎一(G・Vo)は重ねることを避けたギターワークを行っている――と書くと、シンプルな方向性?と思われるかもしれないが、不思議と今作から与えられる印象は真逆で、確かに無駄は削ぎ落とされてはいるが、とても豊かで深みのある仕上がりになっているのだ。その中で、日本語詞の魅力も際立っている。《春風》《白いTシャツ》《コカ・コーラの大きい看板》《コンクリートから伸びて雑草が花をつけていた》――1曲目の“花草”だけでも、景色や匂いが手に取るようにわかるキーワードが、これだけふんだんにちりばめられている。そして、その描写やメロディによって、僕らのありふれた毎日や霞がかった思い出を躍動させてくれるのだ。日本語詞だからこそできる表現も光っており、“Lemon”の《一目で恋に落ちたよ まつ毛の先まで》なんて、「大好き」よりも一途な愛が伝わるキラーフレーズだと思う。(高橋美穂)