音楽も本望だ

sumika『Familia』

2017年07月12日発売

sumika Familia
音楽家に限った話ではなく「才能」という極めて曖昧な概念の正体は、それぞれの表現者がどんな感覚を過剰なまでに研ぎ澄ませ、それをいかに独立した手つきで形象化できるかのことだと思う。生まれ持った天賦の才は確かにある。他方で、引き継がれていく文化に残された膨大な他者の才能のアーカイブに触発され育まれる、後天的にものすごい化け方をするセンスも存在する。この1stフルアルバムでsumikaの音楽に初めて触れて感じたのは、後者のダイナミズムだった。このバンドが音楽をどれだけ愛おしく思い、音楽とどれだけ親密な関係性を築いているかは、本作1枚で十二分に伝わる。この世に生まれてから聴いてきた多種多様な数えきれないほどの音楽の中から、時代の流れに殺されないタフなグッドミュージックの要素だけを抽出して、昇華し、同時代性と普遍性を兼ね備えたポップスをバンドでクリエイトする。愚直なまでに誠実にポップミュージックを愛しにいくすごみのようなものが全14曲に満ちている。こういうバンドがJ-POPのスタンダードを担う未来が来るなら、音楽も本望だろう。(三宅正一)

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