アーティスト

    蒼き苛立ちのドライヴ感

    インヘヴン『インヘヴン』
    2017年10月04日発売
    インヘヴン インヘヴン
    シューゲイザーだったりオルタナだったりパンクだったり、聴く側の気分とマインドによってまったく異なる色彩感と作用をもたらす試薬のような、それでいてあらゆるリスナーの快楽のスイート・スポットを迷いなく撃ち抜いてくる衝動のスナイパーのような、痛快にしてミステリアスな空気感に満ちたバンドだ。ザ・ストロークスのジュリアンがフェイバリットに挙げて、彼の主宰レーベルから7インチもリリースしているUK新鋭=インヘヴン。ジェームス&紅一点クロエの男女ボーカル二枚看板のキャッチーな訴求力×Wジャズマスターのドライヴ感は、デビュー・アルバムとなる今作でもこの上ない魅力として炸裂している(クロエがチアガールに扮してダンスと歌を繰り広げる“トリーツ”のMVは必見)。

    しかし何より一番目が離せないポイントは、ポップ王道まっしぐらな素養を十分に持っているくせに常にどこか日常にイラついているような、永遠の青春性とでも言うべき焦燥感の中に、触れる者すべてを瞬時に叩き込むそのヴァイブそのものにある。今後どう進化していくかは未知数だが、スタートダッシュとしては最高の1枚。 (高橋智樹)
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