グラミー3冠を獲得した前作『トゥルース・アバウト・ラヴ』から5年ぶりのアルバム。このリリース・ブランクはもちろん、家族との時間が必要だったという理由も大きいだろう(昨年には二児の母になった)。今夏、MTVビデオ・ミュージック・アウォーズの式典で、自分の容姿を気にする愛娘を諭すように届けられたスピーチは感動的だった。P!NK自身に影響を与えてきたアンドロジナスなポップ・スターたちの名前を挙げ、「私たちは自分を変えないのよ。貝殻と砂を混ぜて真珠を生み出すの」と告げられたその言葉のエネルギーが、新作の中には様々な形で渦巻いている。
LGBTをテーマに掲げたリード・シングル“What About Us”は、今日の社会風潮の変化を「裏切り」と捉え、苦しむ人々を鼓舞するナンバーになった。また、酔っ払ってエミネムにコラボを持ちかけたという“Revenge”は、愛嬌溢れるオルガン・ファンクに乗せて《あなたと私でリベンジ戦よ/リベンジ 素敵な響き》と歌われている。エミネム復活に向けて最高の呼び水と言える一曲だろう。今、「最も歌って欲しい歌」を歌っているのはP!NKかも知れない。パワフルな傑作。(小池宏和)
ピンク姐さん、「美」に燃える
ピンク『ビューティフル・トラウマ』
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