〔グラミー賞〕女性アーティストへの不公平に対してグラミー賞会長が、賞を獲りたかったら「もっと頑張れ」と発言。P!NK、ガガが反撃。

〔グラミー賞〕女性アーティストへの不公平に対してグラミー賞会長が、賞を獲りたかったら「もっと頑張れ」と発言。P!NK、ガガが反撃。

現地時間の28日に行われたグラミー賞の授賞式で、ケンドリック・ラマーを始め、今の問題を訴える数々の感動的なパフォーマンスがあったが、中でも絶賛されているのは、ケシャの“Praying”だ。自らのセクハラについて語ったその曲で、現在行われている#metooや、#timesupのムーブメントなどを象徴し、女性の権利を訴える見事はパフォーマンスを披露した。

映像こちら。


しかしそれでいて、グラミー賞自体が、女性差別であることが問題となっている。
例えば「The FADER‏」誌は、「2018年のグラミー賞は、女性が権利を語る事を式典では軸にしながらも、実際女性にはほとんど賞をあげていない」とコメント。
https://twitter.com/thefader/status/958140202874097665

「British Vogue」も、「女性がパワフルなメッセージで式典の中心でありながらも、賞自体は男性がほぼ独占した」と。
https://twitter.com/BritishVogue/status/957907113682063360

その矛盾は、その他メッセージ色の強い曲全てにおいて起きていたと思う。

しかも、女性として唯一アルバム賞にノミネートされたロードは、ただ一人、自分の曲のパフォーマンスをオファーされていないという噂だ。ロードはそれに対する抗議をドレスに縫いつけている。

またロードの母は、過去6年間で、ノミネートされた女性はわずか9%だったという「The New York Times」紙の記事をツイートしている。


しかし、何が最悪かというと、この不公平を指摘され、グラミー賞の会長Neil Portnowが「Variety」誌に女性は「もっと頑張らないといけない」と言ったのだ。

「もちろん女性でも才能がなくてはいけないわけだけど、ミュージシャン、エンジニア、プロデューサーになって、音楽業界のトップレベルで活躍したいと思うなら、女性達はもっと頑張らないといけない。こちらとしてはもちろん歓迎なわけだから。それに、私自身は個人的にそういう壁を見た経験はないし。でも歓迎していることを分かりやすくする必要がある。次の世代を育てるためにも」と。

これに対して、P!NKが、「女性達はもっと頑張る必要なんてない」と反撃のコメントをツイートしている。


「音楽業界の女性達は、“もっと頑張る”必要なんてない。なぜなら女性達は、始まりからずっと頑張ってきたから。頑張ってきたし、それに身を引いたりもしてきた。だけど、今年女性は、音楽シーンをしっかりと背負っていた。最高の作品を作ってきた。それは今年に限らずずっと前から。だから、女性の才能と達成を祝福し、名誉を与え、そして、“あらゆる”“困難”にも“負けず”、女性が毎年どれだけ“頑張った”のかを(グラミー賞で)見せることは、次世代の女性、女の子、男の子そして、男性に、平等に扱うということが、どういうことなのか、公平であることがどういうことのかを、示すことになると思う」

さらにレディー・ガガも反撃。
「Ken Ehrlich(グラミー賞のプロデューサー)が昨日の番組の後に、本当にそう言ったんだとしたら、彼は、絶対にその見解を見直す必要がある。グラミー賞は、商業的な成功だけを気にしている。そして、女性は、男性の2倍頑張っているのに、男性の半分の認知しかされていない。昨日の賞で明らかになったのは、男性の凡庸さだ。女性の方が批評家に評価される作品を作ったのに、女性の体の形について歌った男性の曲が、女性が歌った救済のアンセムや、ポップ・ミュージックの風景を変えるような音楽を負かして賞を獲った」

ガガがここで言っているのは、今回のグラミー賞で女性差別の例として挙がり、激怒の対象となっているポップ・ソロ・パフォーマンス部門のことだ。P!NK、レディー・ガガ、ケシャ、ケリー・クラークソンと珍しく女性がほぼ独占で4人もノミネートされていたのに、唯一の男性だったエド・シーランが獲ったから。しかも、歌詞の内容が批判の的になっている。
https://www.usatoday.com/story/life/entertainthis/2018/01/28/internet-done-grammys-after-ed-sheerans-best-pop-solo-performance-win/1073676001/

この会長は、去年、ビヨンセが獲らずにアデルが受賞した際も、「人種差別はない」と発言していた。
https://www.rollingstone.com/music/news/grammy-president-i-dont-think-theres-a-race-problem-w467145

今年は、主要部門で、ヒップホップを多くノミネートしておきながらも、結局ヒップホップが獲らなかったことが大きく批判されている。ヒップホップが、この60回の歴史でたった2回、アウトキャストローリン・ヒルしかアルバム賞を獲っていないというのは、完全に差別が存在するように思えると各メディア批判。

「The New York Times」紙から「Pitchfork」、「NPR」なども、「グラミー賞は所詮グラミー賞のままだ」と古いまま変わらない体制のグラミー賞を批判する記事を掲載している。「今最も重要な声であるヒップホップを主要部門から完全にシャットアウトするのは、アメリカの現政府が行っている人種差別を反映するようだ」とまで厳しく書いている。
https://twitter.com/nprmusic/status/958042551872835584

昨日は、#timesup を支援するために、白いバラをつけることになっていたが、アーティストのみならず、会場でも白いバラをつけている観客がたくさんいた。
中村明美の「ニューヨーク通信」の最新記事
公式SNSアカウントをフォローする

人気記事

最新ブログ

フォローする