真実から目を逸らすなと歌う

高橋優『ルポルタージュ』
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高橋優 ルポルタージュ
ここ最近は高校野球の応援ソングとなった“虹”や、映画『クレヨンしんちゃん』の主題歌となった“ロードムービー”といったふうに、夢や絆と誠実に向かい合う「正統派」な高橋優が続いたが、2017年最後のシングル『ルポタージュ』は、高橋優が本来持っている、世の中に対するシニカルな態度が打ち出された楽曲になった。ギターのカッティングに始まり、ベースがスラップするヘヴィなロックサウンドに乗せて、がむしゃらに言葉を捲し立てる歌唱。暴発寸前の世界状況に溜息をもらし、弱い者いじめのマスコミに辟易しながら、《人は醜い そして愛しい》と歌う。結局、行く着く答えは普遍的だが、そこに辿り着くまでに一周も二周も遠回りしてしまう。その逡巡を「ルポタージュ」、つまり「現地で取材した内容を報告すること」という言葉で象徴したことが高橋優らしい。いつだって自分の目で見たこと、心が感じたことだけが、高橋優の真実だ。カップリングには今作もシングル恒例の亀田誠治とのコラボ、メガネツインズによる“ゴーグル”を収録。このコラボのアルバムもそろそろ期待したいところ。(秦理絵)
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