洗練の中から伝わる情熱

ハーツ『デザイア〜衝動〜』
発売中
ハーツ デザイア〜衝動〜
9月に本国でリリースされたハーツの通算4作目となるアルバムが、1月の来日公演に向けて日本盤化。相変わらずたっぷりと情緒的なシンセ・ポップを構築しながら、サウンド面では過剰に音を塗り重ねることなく、抑制の効いたアレンジでソングライティングの幹の部分を際立たせている。キャリアの自信に裏付けられた洗練ぶりが素晴らしい。日本盤にボーナス収録された“ビューティフル〜”のアコースティック・バージョンや、ライブ音源2曲についても同様のことが言えるだろう。前作の華々しい作り込みが遠く感じられるほどである。アルバム本編の中でとりわけ興味深いのは、切々としたソウル・チューンの“シャペロン”や“ウェイト〜”、プリンスのミネアポリス・サウンドを彷彿とさせるほどに狂おしくファンキーな“ボーイフレンド”や“ウォーク〜”といったアルバム後半の流れだ。ハーツとして特別に真新しいものではないけれど、歌を軸に据えた感情表現とグルーヴが一層彩り豊かに広がっている。特に“ボーイフレンド”や“ウェイト〜”は、プリンス・トリビュートなのではないかと思えるほどに力が入っていて見事。(小池宏和)
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