宝石で宝石を磨くが如く

indigo la End『ハルの言う通り』
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indigo la End ハルの言う通り
DADARAYの楽曲制作にジェニーハイ、ichikoroと次々に手掛けてきた新プロジェクトを通して、そのポップでエクスペリメンタルな創造性を形にしながら、己の音楽世界を驚くべきスピードで研磨し鍛え続けている川谷絵音。2018年第1弾作品としてリリースされた“ハルの言う通り”はまさに、そんな彼の八面六臂の活躍の成果が、彼にとっての「本拠地」であるこのバンドで高純度結晶した楽曲と言える。長田カーティス、後鳥亮介、佐藤栄太郎とともに繰り広げるアンサンブルはよりいっそう透明度と滑らかさを増し、誰もが必死に抱え堪えながら生きているセンチメントとメランコリアをイントロが鳴った瞬間に決壊させてくるし、ファルセット混じりに川谷が歌い上げる《周回する恋の季節風と/あなた一緒に吹いて消えてった》のフレーズは、聴く者すべてを制御不能な青春性の奔流の中へと引きずり込んでみせる。その活動を通してノイズや不純物をどんどん遠心分離してポップの真っ只中へと迫りつつある川谷の現在地を、どこまでも鮮明に伝える1曲であることは間違いない。(高橋智樹)
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