今月号のサザン特集ページにも書いたのだけれど、1998年にリリースされた『海のYeah!!』は画期的なアルバムであった。『バラッド』シリーズ含め編集盤や限定盤はリリースされていたものの、CD文化が隆盛を極めていた頃、サザンのヒット曲や人気曲に手軽に触れることができるオールタイム・ベスト的なものは存在しなかった。それから20年、デビュー40周年に放たれる続編的な『海のOh, Yeah!!』にも、同じ意味と価値がある。ディスク1冒頭の“TSUNAMI”→“LOVE AFFAIR〜秘密のデート”→“BLUE HEAVEN”という3曲だけで、記憶の情景を引き摺り出すメロディの連打に嗚咽し、冷静な批評を奪われてしまう。原由子がリードボーカルを務める新曲“北鎌倉の思い出”は、ストリングスアレンジになびく夢見心地なメロディで、ポスト『葡萄』の時代を感じさせる新鮮なサウンドも素晴らしい。クライマックスは“闘う戦士(もの)たちへ愛を込めて”からの、瑞々しいグルーヴで弾ける三ツ矢サイダー2018CM曲“壮年JUMP”である。RIJF 2018大トリとして立つステージが、今から待ち遠しい。（小池宏和）