反撃のための自己批評

ペンデュラム『ザ・リワークス』
発売中
ALBUM
ペンデュラム ザ・リワークス

現在、ペンデュラムの公式ホームページは、2005年デビュー以来のトピックを年表として纏めたデザインになっている。2011年の活動休止以降は、ロブとギャレスがエレクトロニック・デュオのナイフ・パーティーを立ち上げ、ダンス・フェスなどでもそちらの活動が目立っていたのだが、ペンデュラムとして2017年にライブ活動を再開。「ULTRA JAPAN 2017」でも、最終日LIVE STAGEのロック色の強いラインナップに嵌まりまくる大活躍を見せていた。ホームページ年表によれば、今回のリミックス・アルバム『The Reworks』の後に、これまでのアルバムをコンパイルしたボックス・セットがリリースされる。かつては人気漫画『モテキ』にも登場するほどライブ/フェス・シーンの熱狂を象徴するバンドとして認知されていたペンデュラムだが、その人力ドラムンベースの代表格たるフィジカルなパフォーマンスは激しい消耗を伴うものだったろうし、EDM隆盛の波に押されて疲弊していったことは想像に難くない。ダンスと親和性の高いスタイルでありながら、皮肉にも「ロック・バンドの不利」を証明してしまった形だ。

ロック・アクトがリミックス音源を作ることは珍しくないけれども、本作には現行シーンにおけるバンドの立ち位置を見極めようとする強い自己批評が感じられる。モービースクリレックス、そしてナイフ・パーティーとロックに理解のあるプロデューサーが参加し、デヴィン・タウンシェンドによる“Crush”は風通しの良いイントロからラウドに展開。エールケ・クレインによる“9000 Miles”はクールなミニマルとなった。ペンデュラムが過去のサウンドを批評のフィルターに通し、新章へと踏み出す足がかりを作ったと思える作品である。(小池宏和)



『ザ・リワークス』の詳細はWARNER MUSIC JAPANの公式サイトよりご確認下さい。

ペンデュラム『ザ・リワークス』のディスク・レビューは現在発売中の「ロッキング・オン」9月号に掲載中です。
ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。


ペンデュラム ザ・リワークス - 『rockin'on』2018年9月号『rockin'on』2018年9月号
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