今年『ウララ』、『夏の夢/WALK』と2作のシングルをリリースし、また現在オンエア中の日本テレビ系ドラマ『獣になれない私たち』挿入歌の“まっしろ”が好評のビッケブランカ。これらシングル、タイアップ曲も収録した2ndアルバム『wizard』は、ビッケブランカのポップ職人ぶりと深い音楽愛、でもって子どものような好奇心で音を楽しむピュアネスが炸裂している。音楽がもたらす高揚感はもちろん、彼のワクワクとした心拍数も作品に封じ込められた。聴いていると、そのドキドキが自分の心拍だと錯覚する、そんな高い浸透力があるポップスだ。相棒のピアノと、第二のメロディとして華やかに存在する弦や管楽器による饒舌な曲と、今回は初の打ち込み、EDM曲が加わった。やるなら世界水準のものを、と“Smash(Right This Way)”は全英語詞でトラックメイキングにこだわり、これぞビッケブランカ節な歌心と融合。新たな手触りがあるけれど、心の奥にある懐かしさの扉もノックする、奥深い仕上がりだ。ミュージカル的な“Great Squall”など、あの手この手の遊び心が詰まっている。贅沢。（吉羽さおり）