海外活動で感じた日本との違いや壮大なスケール感といったものを表現すべく、自身が持っている感覚の中でいちばんスケールの大きなものとして「死生観」を歌にしたためた楽曲“Yomigaeri (with 槇原敬之 & 絢香)”は、『Knightclub』と題されたアルバム冒頭を飾る1曲として幽玄に世界の幕明けを物語る。
槇原敬之と絢香というボーカリストふたりの表現力もさることながら、イントロの数秒で構築するサウンドスケープを最大限にかき立てるのは、ビッケブランカ自身の歌唱、特に脳天を突き抜けるようなファルセットだ。彼が無二のシンガーであることを改めて実感する1曲でもある。
アニメ『ブラッククローバー』に提供した”Black Rover”と“Black Cathcer”を足がかりにして始まったビッケブランカの海外戦略は、2023年8月リリースの“Snake”で確かな確信に変わる。
“Snake”を「音楽がちゃんとよければ、世界の人に届くんだ、っていう自信を持てた曲」とインタビューでも振り返ってくれたが、この曲を皮切りに音楽との向き合い方にも大きな変化があったという。
何とも交わらない特異な感性と音楽への深い探究心をもって、繊細な歌心で描く壮大なストーリーがみるみる変化してくのが彼の強みだ。
最新アルバム『Knightclub』で掲げた世界への闘志は、またたく間に国境を越えて鳴り響くに違いない。3年ぶりのフルアルバム制作の裏で感じた率直な思いを語ってもらった。(橋本創)
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ビッケブランカが「世界の人に届くんだ」と自信を持てた楽曲とは? 最新作『Knightclub』で掲げる世界への闘志
2024.09.09 18:00