昨年ラム・オブ・ゴッドが、バーン・ザ・プリースト名義で出したカバー・アルバムは、メルヴィンズやビッグ・ブラックといったパンクな選曲が面白くて大いに楽しめた。そして今度はリード・ギタリストのマーク・モートンが、非常に興味深い初ソロ・アルバムを発表。すでに、故チェスター・ベニントン(リンキン・パーク)をフィーチャーした先行公開曲の“クロス・オフ”が話題だが、その他にもマイルス・ケネディやマーク・ラネガンなど様々なタイプの優れたゲスト・シンガーたちが集結している。さらにプレイヤーとしてはロイ・マイヨルガ(ストーン・サワー)、デイヴィッド・エレフソン(メガデス)、レイ・ルジアー(KOЯN)、マイク・アイネズ(アリス・イン・チェインズ)と、これまた強力な面々がバックアップ。その陣容を眺めていると、ラム・オブ・ゴッドの根幹を成す、ヘヴィ・メタルとオルタナティブを横断するスタンスが自然に表れたものだという気がしてくる。
マークがずっと地道に書き溜めてきたという楽曲も、豪華なゲスト・ミュージシャンを迎えるのに相応しいクオリティを誇っている。チェスターの熱い歌唱に始まり、バンドメイトのランディ・ブライとアーチ・エネミーのアリッサ・ホワイト- グルーズによる圧倒的なデュエットで締め括られるラストまで、どのトラックも聴き応え満点。ファンが期待する通りのアグレッシブなナンバーに加え、ぐっと渋いメロディアスな路線の作品も入っており、後者を代表する曲“リヴィール”を歌うネイマー・マドックスについては、今後いっそう注目していきたいと思う。もちろん、こうしたプロジェクトを通過したラム・オブ・ゴッドの次なるステップに対する期待も急上昇しないわけがない。 (鈴木喜之)
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