タイトル通りアコースティック楽器中心で、基本的に藤巻の弾き語りに必要最低限のバックをつけただけのシンプルでミニマムな演奏だ。藤巻の歌と、言葉とメロディの良さが際立つ。ややプロデュースワークが勝っていたような(曲もあった)レミオバージョンよりも新鮮で良いかも、と思わせる瞬間もある。
前作の僕とのインタビューで彼は「レミオの曲はレミオでやるのが一番いいに決まってる」と語っていた。たとえ作者が個人であっても、バンドで作った曲はバンドのものという考えもある。とはいえ活動が止まってしまえば、誰かが引き継いで歌わない限り、楽曲は封印されてしまう。前のレパートリーを捨ててしまう人もいるが、藤巻はそうではない。それはファンの要望に応えようとする彼の優しさだが、それ以上に、そこまで深く愛され共有されているレミオの楽曲のエッセンスを、もう一度確認したいという意味が大きいように思う。この先活動再開があるかはわからないが、この経験は必ず藤巻の「次」に繋がるはず。(小野島大)