曲げず、ゆえに負けない男

ポール・ウェラー『アザー・アスペクツ - ライヴ・アット・ザ・ロイヤル・フェスティバル・ホール』
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ALBUM
ポール・ウェラー アザー・アスペクツ - ライヴ・アット・ザ・ロイヤル・フェスティバル・ホール

昨年1月に観たポール・ウェラーの来日公演では、ここにきて彼のバンドがウィルコヴァンパイア・ウィークエンドといった、少なくとも演奏力の一点においてあらゆるロック・バンドの頂点に立つような次元のバンド達と同じ水準のグルーヴを叩き出していることに衝撃を受けた。そんなバキバキのロック・モードを体感した後だったこともあり、アコースティック色を強めた最新作『トゥルー・ミーニングス』は大変良くできた力作ではあるものの、彼のキャリアにおいては一時的な箸休めのようなアルバムであると捉えていた。また、そこにはもちろん、近年の彼が積み重ねてきたエネルギッシュな音楽的挑戦の歴史が前提としてあったわけだが。しかし、このロンドン・メトロポリタン・オーケストラとの共演によるライブ盤は、『トゥルー・ミーニングス』で用いられたアコースティックの滋味深いグルーヴと華のあるストリングスの融合という方法論を彼の過去のギター・ロック然とした楽曲にも適用した記録であり、『トゥルー・ミーニングス』の正しさをぐうの音も出ない鮮やかさで再証明している。『アザー・アスペクツ』=異なる側面というタイトルは、そのまま作品の中身を映す。つまり、バンド・グルーヴを極限まで磨いたからこそ、自身が書いてきた楽曲が隠し持っていた、必ずしも派手で分かりやすいフックを有するわけではないメロディの高級さに焦点をあてた一枚になっているのである。そのため、彼らしい切迫感に満ちていた『トゥルー・ミーニングス』と比べると、幾分か開放的な歌唱と演奏を聴くことができる。自分の創作の意図を最高の舞台、最高の形で説けていることが誇らしく、嬉しくてたまらないのだろう。なんとまぁ、どこまでも頑固で格好良いジジイである。 (長瀬昇)



詳細はWarner Music Japanの公式サイトよりご確認ください。

ディスク・レビューは現在発売中の『ロッキング・オン』5月号に掲載中です。
ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。

ポール・ウェラー アザー・アスペクツ - ライヴ・アット・ザ・ロイヤル・フェスティバル・ホール - 『rockin'on』2019年5月号『rockin'on』2019年5月号
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