表題曲はTVドラマ『賭ケグルイ season2』の主題歌だ。オクターブを行き来するリフ、それに絡むように展開するアンサンブルは緊張感抜群。皮肉多めの歌詞は、石を投げることで自分の人生から逸脱していやしないか、体温のない死体に成り下がっていやしないか、と問いかけてくる。“吸血鬼はAB型がお好き”はリズミカルでかわいらしいが、《奪われるくらいなら／奪う方を選べばいい／誰にだって譲れないものはあるでしょう》と、突如意思の強いフレーズが登場するのが気になる。『賭ケグルイ』シリーズ2度目の主題歌担当に際し、金井政人（Vo・G）は「（前略）バイオリニストのいるロックバンドとして、僕らはずっとギャンブルに酔狂しているのとほとんど変わらないのかも知れません」とコメントしている。だからこそ今回のシングルには、ロックバンドとしての彼らの美学、孤高でいるためにはどう在るべきか、というところが強く表れているのかもしれない。浮遊感ある前半、ロマン溢れる後半のコントラストが鮮やかな“Wolfgang in the moon”にはこのバンドの美しさが詰まっている。（蜂須賀ちなみ）