すべての「僕」へ

神様、僕は気づいてしまった『20XX』
発売中
ALBUM
神様、僕は気づいてしまった 20XX
原始的と言えるほどのまっすぐな熱さと、2019年らしい知性や感性が、見事に同居している。今の時代にロックの可能性を指し示してくれる1stアルバム。バンド名や覆面というスタイルから、戦略的とかひねくれているとか体温がなさそうなんていうイメージを抱いている人も未だに多いと思うし(それは本人たちも承知のうえかもしれないけれど)、実際にそういうところもなくはないのかもしれない。でもこんなに暑苦しい(誉め言葉です)バンドは、今時そうそういないと思う。美声の持ち主であるどこのだれか(Vo・G)が、敢えてギリッギリまで張り上げて切実に響かせている歌が象徴的。また、そうやって古来の「熱いロックバンド」のフォーミュラに倣うところと、そこからはみ出てあらゆる「今」を自由に取り入れているところとのバランスが絶妙なのだ。だからこそ、今の時代に「ロックにしかできないことって、こういうことだよな」と思わされるし、そしてリアルに「これは、僕の歌だ」と感じることができるのだと思う。聴き手であるすべての「僕」が思いを吐き出せるシェルターが、ここにある。(高橋美穂)
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