結成20年記念のベスト盤のリリースなども挟み、前作『運命開花』から約4年ぶりの12作目。ストリングスやキーボードの参加曲はあるが、例によってほぼ4人のみで作り上げた作品は、ずばり文句なしの力作であり、このバンドのポテンシャルを存分に発揮した傑作と言える。
菅波栄純作による、狂おしいまでにエモーショナルで禍々しいほどにメロディアスで痛々しいほどエキセントリックで、そして火傷しそうに熱い冒頭の2曲で一気にバクホンの世界に引きずり込まれる。スピード感と密度がすごい。語彙の豊富さと言葉のリズム感に際だったものを見せる菅波独特の詩作が冴えまくっているし、演奏も隙がなく、骨太でバンドらしい実在感のある録音も素晴らしい。
3曲目以降もスピード感とハードな緊張感は衰えることなく持続し、バラードやストリングスやコーラスをフィーチャーした荘厳な曲など、多彩な楽曲で起伏をつけながら、前向きにひたむきに生きることの大切さを力強く訴える。歌のテーマも音楽性もバクホンらしさが横溢している。結成21年目を迎えさらに進化した彼らを刮目して見よ。(小野島大)
熱く高揚する素晴らしい傑作の誕生
THE BACK HORN『カルペ・ディエム』
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