マジカルな音の実験室、再開

デザート・セッションズ『ボリューム11&12』
発売中
ALBUM
デザート・セッションズ ボリューム11&12

忘れた頃にやってくる……というわけで、「砂漠のミュージシャン虎の穴/音楽道場」ことデザート・セッションズ、祝16年ぶりの新作登場です。万歳。

QOTSA(クイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジ)のジョシュ・オムのスタジオ=ランチョ・デ・ラ・ルナ(アークティック・モンキーズが『AM』他で使用したのでもおなじみ)でおこなわれてきた、即興中心・「何でもあり」なフリースタイル闇鍋ジャムの数々を記録した本カルト・シリーズ。QOTSA一派はもちろん、ジョシュの顔の広さと人望とでこれまでPJハーヴェイ、トゥイギー・ラミレズ等多彩なミュージシャンが門を潜ってきたが、今回はビリー・ギボンズ(ZZトップ)、レス・クレイプール、シザー・シスターズのジェイク他が参加。⑤でリード・ボーカルをとっているのは恐らくロイヤル・ブラッドのマイクで、ガチンコなガレージ・ロックの急襲を聴かせていてご機嫌だ。このセッションからQOTSA楽曲に発展したケースもあることだし、ジョシュのファルセットとメロディ感覚が堪能できる①②あたりはいずれ「化け」ても不思議はない。ツェッペリンを思わせるフォーク/中東味やグラム・ロック、ディスコなグルーヴやえぐい編曲等、音の名シェフ連による様々なアイデアのシチューが煮える様には魅了される。フォリナーの“ホット・ブラッディッド”(笑)をパロった⑥のようなおふざけ曲もあるので、額にシワを寄せて真剣に聴く類いの作品ではないだろう。だが本シリーズが始まった97年、すなわちQOTSAがアングラな存在だった頃にその根本にあった「ロボティックなロック」を再訪する面もある今回の内容に、ワン・サイクルを終えて初心に戻ったとの印象を受ける。このリフレッシュ、次作にポジに作用するのは間違いない。 (坂本麻里子)



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ディスク・レビューは現在発売中の『ロッキング・オン』11月号に掲載中です。
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デザート・セッションズ ボリューム11&12 - 『rockin'on』2019年11月号『rockin'on』2019年11月号
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