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    名前のない日のために

    teto『超現実至上主義宣言』
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    ALBUM
    teto 超現実至上主義宣言
    驚くほど広がった楽曲バリエーション。しかしそれらがとっ散らかることなく、さらに太く、大きくなった小池貞利の歌のもとで瑞々しく跳ね回る。十八番のパンクロックが唸り、歌声を伸びやかに羽ばたかせるバラードが慈しみを深く染み渡らせる。メロディのキレにしろ楽曲の懐の深さにしろ、驚くほどのスケールアップを果たしたセカンドフルアルバムだ。無軌道に「言葉にならないこと」を歌と言葉にしていくのではなく、小池の歌が「今生きている日常」と「今目の前にいるあなた」だけを射程に置いて、歌の向かう先がハッキリとしていること。それが、飛び散っているのに一本筋の通った作品を生み出したのだろう。“ただいまおかえり”や“全肯否定”がtetoというバンドの核心。自分の世界だけに閉じこもってひとりきりの衝動を爆裂させるのとは違う。自分の世界に在る温もりだけを信じて生きていくために優しさの行方に思い悩み、喜ぶ――『超現実至上主義宣言』というタイトルに込められているのは、ただの日常を必死に生きることで、いつか想い描いた優しき人間の姿へとたどり着きたいという願いだ。(矢島大地)
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