破格の原石、さらに新次元へ

グレース・ヴァンダーウォール『レターズ ヴォリューム 1』
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ALBUM
グレース・ヴァンダーウォール レターズ ヴォリューム 1 - 『レターズ ヴォリューム1』ジャケット写真『レターズ ヴォリューム1』ジャケット写真

2017年にリリースされた1stフル・アルバム『ジャスト・ザ・ビギニング』は言わば、『アメリカズ・ゴット・タレント』を機に12歳で一躍世界の表舞台に飛び出したグレース・ヴァンダーウォールの、「原石」のままでも圧倒的な輝きを放つその才気の色彩感と立体感を、辣腕プロデューサー陣の意匠によって「ウクレレと歌」というフォーマットごとくっきりと浮かび上がらせてみせた作品だった。そして、『ジャスト~』から約2年の時を経て送り出された今作で彼女は、自らの歌と楽曲をまったく新しい音楽のパースペクティブの中に配置してみせた。

2019年に配信リリースされたシングル曲=“ストレイ”、“ハイドアウェイ”、“ユアー・ソー・ビューティフル”、“ウェイスト・マイ・タイム”を含む計8曲を収録したミニ・アルバム。全編エレクトロ~オルタナR&Bを基調としたアレンジとミックスと響き合うことで、ハスキーな低音から伸びやかな中高音まで彼女の歌のポテンシャルが異次元のポップ・アートとして咲き乱れているのが印象的だ。10代半ばのイノセンスとは明らかに一線を画した大人びたメランコリアも孤独も、メロディと歌の浮力によって時代の脚光の中へと力強く解き放っていく決然とした姿を、今作は鮮烈に伝えている。そして最後、ウクレレの軽快なコード・ストロークが、歌とビートの躍動感とともにハイブリッド&ハイパーなポップの極致へと昇華されていく――という“ハイドアウェイ”の展開は、15歳にして破格の進化を遂げつつある彼女の足跡の結晶そのものだ。『アメリカズ~』で「君は次世代のテイラー・スウィフトだ」と太鼓判を押したサイモン・コーウェルの言葉が、またひとつ現実に近づいた――ということを実感させる1枚であることは間違いない。(高橋智樹)



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ディスク・レビューは現在発売中の『ロッキング・オン』1月号に掲載中です。
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グレース・ヴァンダーウォール レターズ ヴォリューム 1 - 『rockin'on』2020年1月号『rockin'on』2020年1月号
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