弾き語りライブでソロアーティストとしての地力を底上げする一方、前作ミニアルバム『電子レンジアワー』では様々なアーティストやプロデューサー陣とコラボすることで自我を研ぎ澄ませてきた
宇宙まお。そういった近年の努力は彼女の表現をネクストレベルへと押し上げ、全7曲収録の本作ではそのポップセンスがこの上なく活き活きと躍動している。久保田光太郎(peridots)によるプロデュースはバンドメンバー個々の創造性を余すところなく引き出し、宇宙まおのソングライティングが彩り豊かなアレンジの中で弾け回っている。アンダーグラウンドで燻るダンサーの物語を背景にした“もう踊れない”や、「カッコ良さとは何か」というテーマでリスナーに問いかけてくる“ピザとコーラ”など、ユニークな題材をクールな音楽性でまとめ上げている点も斬新だ。白眉なのはやはり、彼女が生まれ育った街の今日について歌った“東京”。直接的なメッセージを投げかけるわけではないが、宇宙まおはリスナーの想像力に強く働きかける言葉と音楽で共感を誘う。2月のバンドセットによるツアーも楽しみだ。(小池宏和)