やっぱりハリーはこうでなくちゃ

ハリー・スタイルズ『ファイン・ライン』
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ALBUM
ハリー・スタイルズ ファイン・ライン

ハリー・スタイルズが現代最高のポップ・スターであることを改めて証明したセカンド・ソロ・アルバム。今思えば前作は、彼が現代的なポップ・スターであることから敢えて距離を置いたアルバムだった。ワン・ダイレクションとしての途轍もないキャリアを止めて先に進むには、どうしても必要な禊だったのだろうし、60年代、70年代のソフト・ロックやカントリー、ブルーズを愚直なほどディープに鳴らし、虚飾を拭い去った素顔の肖像としてのシンガー・ソングライター像を目指したことは、俯きがちのハリーがこちらに背を向けていたジャケットも象徴的だった。

翻って本作は、《光の中に足を踏み入れよう》《僕はもう二度と戻るつもりはないんだ》と歌う“ライツ・アップ”にも象徴されるように、ハリーが身も心も解放してあるべき自分、立つべき場所を受け入れたアルバムだ。前半は洗練されたファンクネスを纏うエレクトロ・ポップ、センシュアルなR&Bチューンが次々に畳み掛けられ、徹底的にクリーンな音響との相乗効果でモダン・ポップの粋を極めていく展開だ。歌詞に目をやれば未練たっぷりの失恋ソングだったりもするのだが、傷心のニュアンスをさらりと乗せた吐息一つでファンを蕩けさせる艶やかなボイスに、スポットライトの真下に戻ってきたハリーの凄みを感じる。後半はチェンバー風のサイケデリックからアコギの凛とした響きが木霊していくカントリー、ヒッピー・シックな女声コーラス・チューンと様々に表情を変えていき、中でも“シー”の激渋ブルーズ・ギター・ソロは圧巻だ。なお、随所でダダ漏れるハリーのフリートウッド・マック愛は健在。UKアナログ・チャートで『噂』が延々トップ3に居座っていたり、ほんと英国人は大好きなんだなあ、フリートウッド・マック。(粉川しの)



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ディスク・レビューは現在発売中の『ロッキング・オン』2月号に掲載中です。
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ハリー・スタイルズ ファイン・ライン - 『rockin'on』2020年2月号『rockin'on』2020年2月号
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