プリンスの12インチ盤がすごかったワケ

プリンス『ヒズ・マジェスティズ・ポップ・ライフ~ザ・パープル・ミックス・クラブ』
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プリンス ヒズ・マジェスティズ・ポップ・ライフ~ザ・パープル・ミックス・クラブ

早いもので没後4年が過ぎた今もなお、ハイ・ペースで旧盤のリイシューが続くプリンス。『1999』や『パープル・レイン』といった歴史的名作のデラックス盤化はもちろんだけど、ファンにとってさらに嬉しいのは、それらと並行して「え、こんなモノまで!?」という激レア盤の再発も順調に進んでいること。こんなご時世だからこそ、世界はもっともっとプリンスの音楽が必要なんだ。

そんな激レア盤の「極み」と言っていい本作は、もともと85年に日本のみでプロモ用に流通した(しかもプレス枚数は500枚のみ!)という「幻」のコンピ盤である。19年のレコード・ストア・デイにアナログLP限定でリイシューされたことはあったけど、CD化されるのはこの日本盤が世界初の快挙となる。内容は『1999』、『パープル・レイン』、『アラウンド・ザ・ワールド・イン・ア・デイ』という3作からのシングル曲が中心だが、注目点は、全10曲中の7曲が当時12インチ盤に収録されていた「リミックス・バージョン」であること。特に“ポップ・ライフ”と“ペイズリー・パーク”のリミックスは、初のCD音源化だ。

ご存じのように80年代は12インチ・レコードの全盛期で、多くのアーティストがなにかと「ダンス・ミックス」を発表していたけど、そのほとんどは外部のDJ/プロデューサーに丸投げして制作されたものだった。でも、プリンスは違う。彼の「リミックス・バージョン」はほぼすべて本人が手がけていたし、やっつけ仕事じゃなく、どれも立派な「作品」だった。たとえば本作に収録された“ポップ・ライフ”や“レッツ・ゴー・クレイジー”のリミックスは、実は制作順的にはこっちが先にレコーディングされている――言い換えると、ロング・バージョンの方が「オリジナル」で、それをエディット(編集)してアルバム用の短いバージョンにしていたわけだ。そもそものスケール感が、まったくの別次元だったわけである。

他のパターンもあって、たとえば今作に収録された“ダイ・フォー・ユー”のリミックスは、実はツアー用のリハーサル音源をそのまんまレコーディングしたもの。だからオリジナルには参加してないシーラ・Eがのっけから大活躍のスーパー・ファンキーなジャム・セッションになってて、10分を過ぎたところでフェイドアウトするけど、伝説では、この後さらに20分間も演奏は続いたと語り継がれている。リミックスだから、と侮ることなかれ。むしろ、この時期のプリンスの「熱量」は、ロング・バージョンの尺で、逆にちょうどいいサイズだったのだ。 (内瀬戸久司)



詳細はWarner Music Japanの公式サイトよりご確認ください。

ディスク・レビューは現在発売中の『ロッキング・オン』6月号に掲載されました。
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プリンス ヒズ・マジェスティズ・ポップ・ライフ~ザ・パープル・ミックス・クラブ - 『rockin'on』2020年6月号『rockin'on』2020年6月号
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